読んでて鳥肌が立った。
思春期の揺らぎがちな感情と雨の降る険しい山道の描写が鮮明に描かれている。
主人公とケンジは、自らを取り巻く現実、「世界の仕組み」から逃れたいという学生時代特有のがむしゃらな情動に突き動かされて、「どこか」へ向かおうと自転車を走らせる。しかし途中で激しい雨に襲われ主人公はケンジに置いて行かれてしまう。諦めて現実の世界へと組み込まれた主人公は四年の時を経て「先」へと行ったケンジに追いつこうともう一度五月雨に濡れる山道を自転車で上ってゆく。
不安定な時期に自らを取り巻く環境から解放されたいと願い、「どこか」別の世界へと憧憬を抱く。そこに普遍的なものを感じて共感出来た。
ただ*で区切られた部分以外の「回想」部分は改行を入れた方が読者を混乱させないと思う。
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