最下限の文字数ですが、実に纏りのある作品でした。無理な場面切り替えもなく、すんなりと亜矢華の気持ちに移入したまま物語は流れていきます。
暗澹たる雲の色、体温を奪っていく冷たい水の攻撃…亜矢華にとっては「平均で平等」という部分以外では、マイナスのイメージしか持てない、雨。
それでも決して嫌いではない、と言えるのは、三咲の存在のお陰。作中の出来事に限らず、これまでもそうやって亜矢華を支えて来たのだろうという事を
「三咲はそういう子だ」
という一言が如実に表わしているところに感動を覚えました。
切ないながらも、それでも平均で平等に。
降り注ぐ雨と、自身に降り注ぐ種々の出来事を巧く掛け合わせて、読者に希望と清々しさという余韻を残してくれる物語でした。
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