>大事だと前々から聞かされていた約束を破ってみた。
という唐突な言葉でこの話は始まる。
そして少女らしい独特な表現を駆使した一人称で、話は進んでゆく。「約束」は一体何なのか、「あたし」が「立って歩く」事に「見えない部分が多くなる」と感じる不安は何故なのか。
読み進めていくうちに、謎が謎を呼び読んでいてどんどん惹きこまれていく。
その謎を解く鍵が『神様』から届くメールだ。
この話は読者が主人公「あたし」に同調して読み進めるか、客観的に読み「謎解き」を楽しもうとするかで評価は別れると思う。
はっきりとした真実を知りたいと思って最後まで読んでしまうと、やや納得のいかない終り方だ。だが「あたし」視点で語られ進んでいくからこそ、真実は曖昧であり、結末の矛盾した感情の揺らぎにも読者を惹き付ける魅力があると思う。
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