ずっと「拓」の名前を「タク」と読んでいました。二度目に読んで、初めてお互いに自称及び二人称の名詞を用いて会話をしていない事に気付きました。しつこさを感じさせずに相手を呼ぶ、自分を示す呼称がない、という形でも違和感なく物語を進められる文章力に感服します。すっかりそこに騙されて、普通の青春時代の片想いのお話と思って読んでいました。
ですが、これ、決して「片想い」ではなさそうな匂いを感じますよね? あくまでも拓の想いを綴ってますが、同じ様に文月も手紙の存在を気にしていたり、何処かで互いに互いの想いに気付いている様な…。
「いいじゃないか! オールOK!!」
と声援を送りたくなる甘酸っぱさに、遠い昔(笑)を思い出しました。
鬱陶しい雨の今日、清々しく初々しいこの物語に心の靄を吹き飛ばして貰いました。
|
|
|
|